2011年12月16日金曜日
「芦原充ヴァイオリン・リサイタル2011」を前に
12月16日(金)19:00から、ビッグハート出雲・白のホールで開かれます「芦原充ヴァイオリン・リサイタル2011」について、当協会の音楽家会員でもあるヴァイオリン奏者の芦原充さんにお話を伺いましたので、以下にご紹介します。
このリサイタルで演奏されるそれぞれの曲の聴きどころも紹介されていますので、ぜひご覧いただき、リサイタルにお出かけください。
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(以下、芦原充さん談)
■リサイタルを開催するにあたって
出雲で演奏させていただいたり、たくさんの子供達のヴァイオリンを聴かせていただくようになって、もうすぐ10年になります。その間に、素晴らしい出会いがあり、また私自身も多くのことを勉強させていただきました。その節目の時に、大好きな白のホールで、とても敬愛している作曲家の傑作4曲を感謝の気持ちと共に演奏し、是非皆様に聴いていただきたい、との気持ちからリサイタルを開催することにしました。
また、今年は3月11日におきた悲しい東日本大震災によって、改めて音楽家として、また一人の人間として自分と向き合い、考えさせられた一年でもありました。震災直後は、関西でも多数の演奏会が中止になり、私自身も、言いようのない虚脱感の中にいました。いったい、ヴァイオリニストである自分に何ができるのかと…。しかし、やっぱり音楽家にできるのは、魂を削って作曲家が書いた傑作を、大切に練習して演奏していくことしかない!それで、聴いてくださる方々が、何か暖かい、また強い感情をもってくだされば…という思いにいたりました。「どんどん演奏したい、それも、作曲家の気持ちが溢れ出てくるような力作を!」と、リサイタルを前に改めて感じているところです。
■リサイタルで演奏するそれぞれの曲について
全曲、思い入れが大変強いです。
一曲目のヴィターリ(シャコンヌ)は、旋律の美しさと、ヴァイオリンの多彩な表現を是非聴いていただきたいです。高校生の頃、本番で緊張ばかりして、全く自由に弾けなくて悩んだ時期がありました。そんな時期、シャコンヌを演奏する機会があり、シャコンヌの美しい旋律の力でしょうか、なぜだかすっと曲に寄り添うことができ、それまでがうそのように、本番で自由になることができました。それからは本番で自分をコントロールできるようになったというか…あの本番でおとずれたビビビ、という感じはいまだに忘れられません。私にとって、そんな思い出深い一曲です。
2曲目のベートーヴェン(ヴァイオリン・ソナタ第7番)は、彼が遺書をしたためた直前に書いた作品だけに、凄まじい緊張感と、激しい苦悩を感じます。私事ですが、過去に病気になり、ヴァイオリンをやめなければ…という事態に追い込まれたことがあり、彼のこの当時の作品を演奏すると、本当にいたたまれない気持ちになります。しかし、彼の運命をのりこえていく、そんな勇気がこの曲には漲っていて、強い生命力を表現できたらと思います。
3曲目のイザイ(無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」)も是非聴いていただきたい一曲です。超絶的技巧を要求しながら、それが誇示にならず、全てが深い音楽につながっているのが彼の作品の素晴らしいところです。和音の選び方、構成など、彼のセンスの高さには本当に驚かされます。私事ですが、中学生の時、一旦ヴァイオリンをやめてしまいます。しかし、その後、音楽の世界に引き戻してくれるきっかけになったのが、このイザイの曲でした。そんな思い出の曲を、演奏できて幸せです。
4曲目のフランク(ヴァイオリン・ソナタ イ長調)は、祈りの気持ちをもって、大切に演奏したいとおもっています。長年、演奏してきた武村直子さんとのアンサンブルも是非聴いていただきたいです。
■最後に皆様に
出雲で10年間活動させていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。16日は、4つの傑作を大切に演奏いたします。是非お越しください!
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