2012年7月21日土曜日

出雲フィル第16回定期演奏会が終了しました


出雲フィルハーモニー交響楽団の第16回定期演奏会に参加しましたので、簡単にではありますが、ご紹介します。
ちなみに、この記事は参加者である私の視点から書いていますので、もしかしたら主催の出雲芸術アカデミーの見解と違うところはあるかもしれません。ご承知置きください。

さて、出雲フィルについて、「プロのオーケストラなの?アマチュア・オーケストラなの?」と聞かれたことが何度かあります。
これは「どちらでもない」というのが答えになるかと思います。

「どちらでもないってどういうことやねん?」と思われたかもしれませんね。
実は出雲フィルは常設のオーケストラとしてやっているのではなく、教育音楽祭オーケストラとしてその都度編成されるものと考えることができそうです。
主体としては、出雲芸術アカデミーの「オーケストラ・レパートリー」という講座を受講している人から成り、その他に出雲市と文化交流のある他の地域からの参加者もいます。

やはりわかりにくいかもしれませんね。
例えば、PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)というのをご存じでしょうか?これはバーンスタインの提唱により始まった国際教育音楽祭です。(ちょうど今札幌で開催中です。)

世界中から音楽を学ぶ若者が札幌に集まり、1ヶ月間、ウィーン・フィルやベルリン・フィルといったレベルの高いオーケストラのメンバーや著名な指揮者による丁寧な指導を受け、各地でコンサートを開き、最終日には学んだ成果を発表するということでホールでオーケストラのコンサートが開かれ…というものです。

出雲フィルも、実は参加者募集段階では、コンサートに出演する人を募集しているのではなく、出雲フィルという「セミナー」に参加する人を募集しています。
指揮者の中井章徳さんをはじめとして、弦楽器は各パートに、管打楽器は各セクションに指導者がいて、参加者は数日間に渡り、パート、セクション、オーケストラと様々なレベルで指導を受けます。

セミナーの一コマ。老いも若きも、プロもアマも、学んでいます。


最終日には定期演奏会が開かれますが、これはPMFと同様に学んだ成果を発表し、またお客様に音楽を楽しんでいただくためのものであるわけです。

演奏会の一コマ。自分達が楽しむだけでなく、お客様にも楽しんでいただけるか。


最初にプロともアマとも言い難いと書きましたのは、このように、出雲フィルとはプロとアマが一緒にオーケストラをつくり、ともに音楽を学ぶ場であるからです。

PMFほどの規模ではないとは言え、それほど人口も多くない出雲市においてこのようなことがなされているというのは、本当に驚きです。
地方都市においても質の高い教育を受けられ、お客様とともに音楽の歓びを感じることができます。
また、出雲市やその周辺に住む子ども達も参加していますが、子ども達にとってもかけがえのない経験でしょう。私は出雲市よりはるかに人口が多い町の出身ですが、子どもの頃、このようなものはありませんでした。出雲周辺の子ども達は恵まれている思えます。

経済状況が厳しくなると、とかく芸術文化関係は早く予算を減らされがちです。
しかし、近年、芸術文化活動が社会に与えるプラスの影響が(「何となくよさそうな気がする」というのではなく)きちんと評価されるようにもなってきており、こういった活動が継続されることは、地域において非常に重要であると考えます。

このセミナーは出雲楽友協会の主催ではありませんが、社会にとって有益な活動であり、関係者のみなさんのご尽力に感謝するとともに、市民(広い概念としての「市民」)のみなさまにはこの活動へのご理解、ご支援をお願いします。


0 件のコメント:

コメントを投稿