出雲楽友協会第1回島根県新人演奏会が,4月29日(金・祝),終了しました.
出演者のみなさん,お疲れさまでした.ご来場いただいたみなさま,当協会会員をはじめとするご支援いただいたみなさま,ありがとうございました.おかげさまで盛況となり,みなさまのお力を得て,新人演奏家に日頃の勉強の成果を披露するよい場を提供することができました.
さて,この新人演奏会ですが,過去に特定の市での開催はあったようですが,県全体としては初めてではないかと思います.出雲楽友協会でこの演奏会に取り組むことになったきっかけは,当協会音楽家会員でもあるトロンボーン奏者の森山貴宏さんの提案でした.
演奏会が終わってからとなってしまいましたが,この新人演奏会の振り返りの一つとして,森山貴宏さんにインタビューを行いましたので,以下に掲載します.どうぞご覧ください.
この新人演奏会へのご意見もどうぞお寄せください.
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【事務局(以下、「事」】今回、島根県では初めての新人演奏会開催となりましたが、新人演奏会の趣旨とはどのようなものですか?
【森山貴宏(以下、「森」】全国では多くの地域で新人演奏会が開催されています。その趣旨として共通しているのは、新人演奏家を広く地域に紹介し、その地域の音楽文化レベルの向上を図ることなどであり、島根県新人演奏会としては、「島根県ゆかりの新人音楽家の演奏・紹介の機会を作ることを主眼に、有望な人材の発掘、育成、音楽芸術にかかわる人々の交流、地域の音楽文化の発展を期待して開催するもの」として開催しました。
【事】新人演奏会は、特に出演する演奏家にとっては、どのような意義を持つものなのでしょうか?
【森】歴史のある新人演奏会などの多くは大学に推薦されて代表として出演するものや、賞などを設けているコンクール的なものです。そのため、新人演奏会に出演するということ自体にステータスがあります。
今回の島根県新人演奏会では賞を設けたりはしませんでしたが、故郷での演奏は余計に緊張するものですし、お世話になった人に生演奏で音楽を届け、自分の成長を知っていただける機会として格別な思いで演奏するものだと思います。
【事】今回の島根県新人演奏会では大学による推薦は必要なく、賞も設けられませんでしたが、その理由はどういったことでしょうか?
【森】島根には(教育学部の音楽コースはありますが)音楽大学は存在しません。しかし、多くの方が県外で音楽を学んでいます。音大が県内に複数あれば、前述のようなやり方も出来るのでしょうが、音大生の演奏を聴く事のないこの地域ではあまり相応しいやり方ではないかもしれません。まずは演奏を聴いていただくことを優先し、今回は申し込みのあった方全員に出演していただきました。やり方は違うかも知れませんが、出演できること、出演したことを誇りに思える演奏会でなくてはならないと思います。出演者だけではなく、主催する側の思いも重要かもしれませんね。
【事】森山さんが提唱されて出雲楽友協会でこの新人演奏会を行うことになったわけですが、何かきっかけ、背景といったものがあったのですか?
【森】きっかけといいますか、私も島根県出身であり、音楽を学ぶために県外へ出て初めて「新人演奏会」というものを知りました。そのような演奏会が島根にあるのかないのかも分からなかったのですが、やはりありませんでした。高校が音楽コースでしたので、音大に進んだ同級生はたくさんいるのに、勉強してきたことを発表する場がない、そのような基盤がないことが残念で、新人演奏会ではないのですが、学生の時に2度、高校の同級生を中心にソロの演奏会を開催しました。でも広い島根県には自分達の他にも音大に進んだ人は多くいるわけで…。
もう私は新人という歳ではないのですが、どうしても後に続く人たちのために新人演奏会を開催したいと10年くらい思っていて、昨年出雲楽友協会が設立され、協会で主催すれば可能かもしれないと思い企画しました。協会での初めてのホールでの事業がこの第1回新人演奏会となり、共に歴史を作って行きたいです。
【事】後輩ともいえる新人のみなさんの演奏はいかがでしたか?
【森】大学の推薦でもなく、賞を設けるわけでもなかったのですが、それぞれレベルの高い演奏でした。今後のいろいろな演奏会や、人との出会いなどでさらに深みのある演奏家になっていただきたいと思います。
歴史もなにもない初めての開催でしたが、こちらの思いがちゃんと伝わっているのかもしれませんね。
【事】今後この新人演奏会をどのようにしていきたいと思われますか?
【森】手応えを感じられる第1回目でしたので、これからが大事ですね。
運営面での課題は、開催してみてたくさん見つけることが出来ました。次回はそれを活かし、より良い演奏会にしたいです。
島根県は細長い県です。毎回が出雲(県東部)での開催となると西部出身の人は出にくいと思いますので、動きながら開催出来ればいいのですが…。あと、今回は応募がありませんでしたが、【研究部門】として、演奏以外に大学で研究したことを発表する部門も設けています。これも実現したいですね。
新人演奏会をきっかけに、人と人の繋がりが出来ていくことが何よりも嬉しいことです。そして、これから音楽の道に進もうとしている中高生には、将来の目標にできる演奏会にしたいです。
【事】音楽を志す人、それを支える人、それぞれに対して何かメッセージがありましたら、お願いします。
【森】音楽家会員と、それを支援するサポート会員からなる出雲楽友協会ですが、この協会だけにしか出来ない新人演奏会が誕生したと思います。協会としては今回の出演者をはじめ、若い音楽家を温かく見守り、応援して行きたいと思います。
自分を含め音楽家は、多くの方の支援でより良い活動が出来るよう、常に向上心を持って音楽と向き合って行きたいです。
最後になりましたが、この演奏会を開催するにあたり多くの方にお世話になりました。ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。